脳の中の天秤
私たちの脳内には価値を測定するための天秤があります。生き残るためにそうやってきちんと価値を測定して行動に移しているんですね。
でも脳内の天秤は、私たちが「家族とあなたのギャンブルはどちらが大切ですか？」と問いかけられた時に意識で思考して「家族です」と答えられるそれとは別物です。「今日のギャンブルに１万円の価値があるか」といったような事も測定できません。
なぜなら、脳は日本語も算数も理解できないからです。円なんて余計分かりません。
脳は動物のもってる一器官ですからね、伝達物質と電気信号で動いています。
脳内にある天秤で測定するためにヒトは実生活で行動しながら天秤にのせる重りの重さを経験則にしたがって調節しているのです。
勉強や仕事でいい結果を出したら親や先生、上司に褒められて快楽物質が出る。この快楽物質が栄養になって勉強や仕事の重りがムクムクと大きくなるわけですね。
恋愛とか友達とかそういった人との繋がりが嬉しくてまた快楽物質が出たり
逆に不摂生をして健康を壊して嫌な思いをしたり、勉強をサボったり悪いことをして叱られると嫌な思いをするのでそういった重りは栄養を取られて小さくなります。
健康な脳で正常な生活を送っていると、実生活に即した状況で栄養をもらったり嫌なことがちゃんと発生するので大人になるまでに育ててきたこの重りのバランス通りに行動すれば所謂正常の範囲内の生活が送れるようになるんですね。
そしてその価値判定通りに生きながらも実生活で結果を出せるというが自己矛盾の無いストレスの少ない生活につながるのではないかと私は考えています。
ところがギャンブルなどの刺激がつよい行動はこの栄養の出かたが強烈なんです。もうドーピング状態なんですね、ドーピングで巨大に育った重りはもう反対側に何を乗せても脳内の天秤で勝ってしまう。
そして脳はその価値判定の結果を私たちの意識に信号として送ってくる、そして言語化される
「今日一日やるだけなら問題ないんじゃないか」とか「今はお金が少し余裕あるから大丈夫なんじゃない」といった具合ですね。
依存症を克服するにはこの脳が出してくる結果に逆らい続けなきゃいけないから苦しいんです。そしてパワーバランスも脳＞＞＞＞意識なのでスリップしてしまう。
この自己矛盾を取り除くことが依存症克服ということなのでしょう。
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